抄録
高齢維持透析患者は徐々に増加しており,2016年現在で透析患者の3人に1人が後期高齢者となっている.糖尿病性腎症による末期腎不全患者が多いため,血管合併症による心血管イベントやCLIが増加している.高齢維持透析患者は,出血リスクも高いため,抗血栓療法にも注意が必要である.高齢腎不全CLI患者に対する切断回避ならびに生命予後を優先した治療は,治療の長期化によりかえってADLの低下を招く危険性もあり,注意が必要である.個々の症例によって,目標とすべき治療ゴールの設定は異なるので,理学療法士やソーシャルワーカーなど,多職種を巻き込んだアプローチが不可欠であると思われる.