抄録
重症下肢虚血(CLI)の予後は悪く,血管内治療後の再狭窄率も高い.下肢血流障害の結果生じる潰瘍はその疼痛とともにQOLを大きく低下させる.今回,血行再建後に繰り返す再狭窄および難治性潰瘍に免荷と近赤外線治療を行い,潰瘍および下肢血流に良好な効果が得られたCLI症例を経験したので報告する.症例は喫煙歴,高血圧のある人工透析中の70歳男性.血管造影で下腿3分枝病変を認め血管内治療を行ったが,悪化を繰り返し6回の血管内治療を行った.潰瘍の縮小は認めるも完治にいたらず,疼痛も寛解しなかったため,免荷サンダルの改変に加え近赤外線治療を行い5ヵ月目に潰瘍の完全な治癒が得られた.近赤外線治療中の下肢血流も保たれた.