日本下肢救済・足病学会誌
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症例
慢性難治性潰瘍に対する細胞外マトリックス(ブタ小腸粘膜下組織)グラフト(OASIS ®)の使用経験
東田 隆治大井 正也牧 昌利
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2019 年 11 巻 3 号 p. 104-109

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抄録
難治性下肢慢性創傷に対し,OASIS ®(ブタ小腸粘膜下組織)を使用した経験を報告する.症例1は53歳,男性.ストリッピング術後,3~4年の難治性右足背部潰瘍にOASIS ®を用い,1ヵ月で上皮化した.症例2は85歳,女性.4年前の伏在静脈血管内レーザー焼灼術後の難治性潰瘍にOASIS ®を用い,3ヵ月で上皮化した.症例3は90歳,女性.ストリッピング術後の再発する難治性下腿潰瘍に対し,OASIS ®を用いたが,感染を合併したためOASIS ®を除去し,植皮した.症例4は76歳,男性.末期腎不全,重症下肢虚血,ストリッピング術後で,左足背潰瘍と右足趾壊疽を合併していた.両側下肢動脈血行再建後に左足背潰瘍に対し,陰圧閉鎖療法とOASIS ®を併用し,創治癒が得られた.OASIS ®が慢性創傷の創治癒促進に有用性が示唆される症例を経験した.使用する際は感染の合併に注意が必要である.
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