抄録
【背景】SPP は血液透析患者のPAD 発見および評価に対する重要な検査の一つであるが,測定の時期や透析前後での比較検討については明確ではない.【目的】維持血液透析患者におけるSPP の測定時期および影響因子について検討する.【対象と方法】対象は維持血液透析患者16 名(平均年齢71.4 歳,PAD 11 名).両側の足背,足底において,透析前後でSPP を測定した.また,透析前後の血圧,体重,脈圧,ABI,PWV,hANP,Ca,P,PTH との関連を解析した.【結果】患者全体のSPP 値の平均は,透析前で56.4±19.5 mmHg,透析後で53.3±26.0 mmHg と透析後に有意に低下し(p=0.04),PAD 患者ではより明確に低下した(p=0.04).透析前後のSPP 値低下は,除水量,透析期間,年齢,透析前後の収縮期血圧,透析後拡張期血圧との間にそれぞれ有意な相関を認めた.【結語】維持血液透析患者のSPP 値は透析後に低下する.透析患者の末梢循環動態には血圧,循環血漿量,透析期間,年齢等が影響する.