日本下肢救済・足病学会誌
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原著
感染を合併した重症下肢虚血に対する経験的抗生剤療法としてのメロペネム,バンコマイシン併用の有効性
安 武夫宮坂 善之仲鉢 英夫石岡 邦啓岡 真知子守矢 英和日高 寿美大竹 剛靖小林 修三
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2012 年 4 巻 3 号 p. 193-197

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抄録
重症下肢虚血(critical limb ischemia; CLI)の感染に対して,当院では経験的抗生剤療法としてメロペネム(Meropenem; MEPM)とバンコマイシン(Vancomycin; VCM)の併用(MV)療法を施行している.今回,MV療法の有効性を評価した.当院フットカンファレンスで対象となった感染合併CLI症例のうち,MV療法群17例,MV療法以外の抗生剤治療群(control群)23例を用いて,Retrospective cohort studyを行った.感染合併による入院から1年間の下肢大切断回避率(救肢率)を主要評価項目として比較した.救肢率はMV群が88%,control群が57%であり,MV群が有意に高かった(p=0.03).また,Rutherford分類5,6群別に救肢率を評価した結果,Rutherford分類5群のみにMV療法の有効性が認められた(p=0.049).しかし,MV群とcontrol群における1年生存率に有意差は認められなかった(p=0.69).今回の結果から,感染合併CLI症例において,MV療法は経験的抗生剤療法として,下肢大切断を回避するために有用であると考えられた.
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© 2012 日本下肢救済・足病学会
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