抄録
糖尿病患者は,神経障害や血流障害などの進行によって足病変のリスクが高まることは知られていることである.しかし,神経障害や血流障害といった身体的な変化だけではなく,生活環境の変化や精神的ストレスがかかることによって,病気や治療に向き合うことができず,大切な足に配慮できない状態となることも少なくない.どんなに足を大事に思い日ごろからケアしていても,それ以外の気がかりなことを優先し,身体のケアは二の次となり,その結果これまでできていた足への配慮ができず,悪化していることに気がつかないまま足病変に移行することになってしまう.この事例は,筆者が足潰瘍を2度体験したA氏との4年間の関わりを通して,医療者が患者の抱える苦悩や思いを共有すること,患者の生活環境や心理的変化のサインを察知し,患者の思いやその時の状況に沿いながら支援することが救肢することにつながることを再認識した事例である.