抄録
人工真皮は,コラーゲンスポンジとシリコーンシートの二層性構造である.バイオマテリアルとして20 年以上使用されている確立された治療マテリアルである.真皮再生のscaffold として全層皮膚欠損部に使用される.下肢難治性創傷においては,二期的手術が多い.最初の手術での創面は様々な組織が露出し,人工真皮の好適である.人工真皮は単体でも,十分な真皮様肉芽組織を発生させ,効果を発揮する.更に現在は,局所陰圧閉鎖療法や塩基性線維芽細胞増殖因子などの多くのデバイスやマテリアルが出現しており,これらとの併用による治療がより良質な真皮様肉芽組織を形成させる.今後,人工真皮は再生医療の発展とともにscaffold として成長因子の放出や徐放の機能として使用の場を広げていくと予想される.