抄録
血液疾患に関連した急性下肢虚血を3例で経験した.症例1,2は特発性血小板減少性紫斑病(ITP)に対し,トロンボポエチン受容体刺激因子投与後に下肢急性動脈閉塞となった症例であった.いずれもトロンボポエチン受容体刺激因子にて血小板数は増加したが正常範囲内であり,トロンボポエチン受容体刺激因子を含めた複合的な因子によって血栓症が惹起された可能性が示唆された.症例3は骨髄増殖性疾患に発症した急性動脈閉塞であった.血行再建単独では症状の改善は得られず,冩血やハイドロキシウレアを併用し最終的に血液粘稠度が低下し症状は改善した.