管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
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論文
製造間接費研究の動向―ABCの貢献を中心として―
片岡 洋人
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2002 年 10 巻 1 号 p. 27-38

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抄録

本研究の目的は,製造間接費計算の伝統的方法の特性を分析し問題点を示し,ABCの登場によって①解決した問題点,②解決していない問題点,および③新たに生じた問題点を明らかにし,今後の発展の方向性を示唆することである.

以下,研究成果の主要なものを述べる.①ABCによって解決した問題点は,厳格に因果関係に基づくコスト・ドライバーを利用することにより,操業度関連の配賦基準で複雑性のコストを配賦することから生じる製品原価の歪みを取り除いたことであろう.②ABCによっても解決していない問題点としては,部門別計算の第2次集計段階において「変動費の固定費化」が生じるような状況等を考慮していないことである.③新たに生じた問題点は,原価計算制度との関連が不明確であることである.

今後の製造間接費計算の展開の方向性・可能性は,例えば「変動費の固定費化」等のような現実の生じる状況等を考慮して再検討してみることである.

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© 2002 日本管理会計学会
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