投資経済計算には,回収期間法,会計的利益率法,正味現在価値法,内部利益率法,収益性指数法などがある.理論的には,正味現在価値法や内部利益率法などの割引キャッシュフロー法が優れている.アメリカ企業では,理論的に優れた正味現在価値法や内部利益率法が利用されているが,日本企業では,理論的に劣るとされる回収期間法が利用されている.
本稿では,日本企業が回収期間法を選好する理由を解明する一環として,単純回収期間法の特徴を説明し,次いでRappaportによって提唱された割引回収期間法を検討して,さらに貨幣の時間価値の概念を回収期間法に組み込んだ割増回収期間法を理論的に論証する.