2005 年 13 巻 1-2 号 p. 3-23
これまで耐久消費財の維持および修理にかかる費用に関しては,ライフサイクルコスト計算においても無視できない費用であるにもかかわらず消費者はあまり知らされてこなかった.一定の故障頻度を持たない多くの耐久消費財についてその維持および修理費用を推定することは困難である.しかしながら例えば自動車のような財については,少なくともその信頼性に関しては大まかにではあるが情報を得ることができる.そこで本研究ではアメリカ自動車信頼性データから維持・修理費用を算出方法について提案する.この方法ではまず広く利用可能な信頼性データから統計的モデルを推定する.そしてモデルから推定される自動車の信頼性から費用へ変換を行う.ここで用いる統計的モデルでは部分的に欠損している信頼性データから起こりうる偏りの問題に対処することを可能にしている.具体的な費用算出例として1996年モデルイヤーにおいて人気のあった26車種を取り上げた.