2017 年 25 巻 1 号 p. 3-18
本論文の目的は,管理会計やマネジメント・コントロール(MACS),管理会計能力,急進的イノベーションの関係を明らかにすることである.そこで,MACSのインターラクティブな利用,管理会計能力のひとつと考えられるMACSの利用経験から学習する能力(経験学習能力),および,それら2つの交互作用が急進的イノベーションに与える影響について,郵送質問票調査を用いて実証的に検討した.分析の結果,経験学習能力の高さが,急進的イノベーションを促進することは確認されたものの,経験学習能力とMACSのインターラクティブな利用の交互作用が急進的イノベーションを促進するのは,学習に適した組織文化の強い組織に限られる可能性があることが示唆された.