2017 年 25 巻 1 号 p. 19-33
本論文は,「メタ組織(Meta-organization)」の概念を用いて,単一のメタ組織としての京都試作ネットのマネジメント・コントロールの特徴を明らかにすることを目的としている.同ネットワークの特徴は,技術の多様性と補完性を活かしたビジネス・モデルと,これを支える,メタ組織としての信条システムに基づく自律的なマネジメント・コントロールであると考えられる.理事企業開での公式・非公式の頻繁かつ質の高いコミュニケーションが基本的価値観の共有を促進し,メタ組織としての一体感とチャレンジ精神を醸成する.このことが,同ネットワークにおけるオペレーションのアラインメントとイノベーションのエンパワーメントを支えていると考えられる.さらに,同ネットワークは,期待される外部効果がネットワーク参加への意欲を高め,ネットワークでの活動を通じて実現した外部効果が組織を活性化させるという好循環を生み出していると考えられる.