管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
論壇論文
管理会計における外延の拡充と内包の深化
辻 正雄
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2017 年 25 巻 2 号 p. 3-17

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抄録

管理会計における実務と研究の乖離が指摘されて久しいが,この乖離を解消へと向かわせるための新展開とはどのようなものであろうか.個別の事象を説明し予測することから,普遍的な一般性を求める理論化を探究する過程で抽象化が進行する結果,理論と実務の乖離が生じてしまうのであれば,実務に軸足を置きそこでの複雑な因果関係を解き明かしていく研究が求められるであろう.本論文では,管理会計研究の体系を考察するとともに,管理会計が企業価値の向上に資する役割を担うために有効となる一つのモデルを提示する.管理会計研究の領域を,(1)実践および応用研究の領域,(2)実証研究の領域,(3)理論研究の領域に分け,より現実に近い仮定の上に理論を構築することと,仮説検証において説明力を高めて過誤の確率を低くする頑健な方法を適用することの重要性を指摘する,また,実践および応用研究の事例として,管理会計が事業価値の向上を指向する投下資本税引後営業利益率(ROIC) を分解し,KPIとして使用することを提案する.

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© 2017 日本管理会計学会
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