2018 年 26 巻 2 号 p. 63-75
本稿は,管理会計の拡張に伴って生じる資本予算の課題について議論したものである.本稿の主たる狙いは,資本予算実務の重要な現代的課題に関する論点整理を行うこととなる.本稿で取り扱う資本予算に関連する主たる拡張的な論点は,投資の経済性評価技法の利用の変化,NPV法のカスタマイズ,事後的な統制への注目,定性的リスクの評価,撤退基準の構築,IT投資の評価,収益見積りへの注目などである.加えて,これらの論点を整理するうえで考慮すべき,研究上の限界や視点について言及し,今後の資本予算研究において検討すべき総論的課題を提供する.