2019 年 27 巻 2 号 p. 61-72
グループ企業のマネジメントの形態や組織デザインは,ビジネスモデルに依存するところが大きい.また,顧客の分布やサプライチェーンが国や国際的な地域をまたがるとマネジメントは複雑化する傾向にある.ある企業がM&Aによってグループ経営を拡大していく場合には,明確な役割分担の体系と共通のマネジメントフォーマットにより「問いかけ,任せる経営」を行うことが必要となる.また,これと結果の評価は直結していることが望ましく,外国出身の幹部のインクルージョンやトップの直接的コミュニケーションも重要な観点となる.本稿では日系企業の事例をもとに,どのような海外子会社のマネジメント形態があり,どのようなことに注意を払いながらマネジメントしていくことが望ましいと言えそうなのかを考察する.