管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
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論文
日本版不動産投資信託における利益マネジメント―減価償却費の調整に注目して―
木村 史彦
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2020 年 28 巻 1 号 p. 97-115

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抄録

日本版不動産投資信託 (J-REIT) は,租税特別措置法の下,一定の条件を満たすことで法人税の課税が事実上免除される.この優遇措置を得るためには,配当可能利益の90%以上を分配する等の導管性要件を満たすことが必要となる.また,J-REITはその事業内容から償却性有形固定資産のウエイトが高く,その結果,減価償却費が利益に対して大きな影響を及ぼす.本稿はこうしたJ-REITの特徴をふまえ,J-REITにおける減価償却費の調整を通じた利益マネジメントに対する影響要因について解明を試みた.2005年から2017年までを分析期間とする検証の結果 (1) 個人以外の投資主の所有割合が高い法人および債権者の影響力が高い法人ほど,減価償却費の調整を通じた利益増加的なEMが実施される,(2) 投資機会集合が大きい法人および規模が大きな法人ほど,減価償却費の調整を通じた利益減少的なEMが実施されることが見出された.

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