2021 年 29 巻 2 号 p. 13-22
因果推論の「もっともらしさ」をあらわすエビデンス・レベルの考え方を踏まえると,質的・量的な研究方法に限らず管理会計研究には一定の「型」と呼べるものが存在するのではないか.これが本稿の主たる主張である.この主張を行うために次の3段階で議論を展開しよう.まず,管理会計研究の過去の研究でみられる因果のパターンを明らかにすることである.続いて,エビデンス・レベルの視点を紹介し,どのような調査デザインなら因果関係を主張できるのかを確認する.そして,結論として,管理会計研究のエビデンス・レベルを向上させるための「型」を提案する.