2022 年 30 巻 1 号 p. 123-140
現場改善の目的のひとつは,現場改善活動による工程,工場単位での生産性向上である.従前の各原価計算手法は優れた計算構造や特徴を有するものの,改善効果を網羅的に金額測定できない.そのような課題を解決するために複数の先行研究が試みられ,その一つとして現場改善会計論(GKC)が提唱されてきた.GKCでは,「機会損失」の概念を取り入れ,改善活動を評価する計算式が提示された.
本研究では,従来研究をより発展させ,改善効果としての「生産能力増大」を定義し,改善効果を計算できる概念式を提示する.さらに,生産能力増大の活用方法に注目して,改善効果の測定について計算事例を示す.その上で,改善効果が会計的にどのように現れるかについて類型化する.