2024 年 32 巻 1 号 p. 3-17
本研究の目的は社外取締役比率が企業価値に与える影響について実証的に分析を行うことである.分析の結果,社外取締役比率が企業価値に与える影響は線形関係ではなく,非線形関係となることが示唆された.社外取締役比率の値で企業を分類して行った追加検証や平滑化スプラインによる分析でも同様な結果となった.また,企業価値を最小化する社外取締役比率も明確となり,取締役会における社外取締役の割合をどれくらいにすべきかの指針を示唆することができた.さらに,本研究による正の関係となる社外取締役比率の範囲は,改訂コーポレートガバナンス・コードが要求する3分の1以上という値の妥当性を確認することにつながった.