管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
事例研究
ITによる製造間接部門のコスト低減活動:産業機械メーカー「コマツ」の事例
長坂 悦敬
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1997 年 5 巻 2 号 p. 63-81

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抄録

ビジネスプロセスリエンジニアリング(BPR)は,急速に進歩している情報技術を積極的に取り入れることにより間接部門の抜本的な業務改革を断行する方法として注目すべきものである.しかし,BPR手法をそのまま日本企業に適用することは容易ではないことが既にいくつかの報告で指摘されている.

本研究では,BPRを狭義に「IT(情報技術)による間接部門のコスト削減活動」ととらえ,その方法論について検討した上で,産業機械メーカー「コマツ」における素材製造,溶接板金製造,機械加工,組立の各生産準備業務に適用した.同社では,業務改革プロジェクトが発足され,まず,ビジネスプロセスフローが帰納法と演緯法の両方で詳細に分析された.すなわち,従来プロセスの重複を解消するだけではなく,最先端のITにより可能となる新しいプロセスの導入を考え,複数の従来プロセスを省略することが検討された.例えば,コンピュータネットワークでデータベース化されたコストテーブルを共有化し,コスト見積業務を効率化すること,カスタマイズされたCADを開発することにより図面管理と作図業務を効率化する,EDIにより関連会社とのデータ交換をより迅速に正確に行うことなどが進められた.これにより,今まであまり改革が進んでいなかった製造間接部門のコスト低減が実現された.

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© 1997 日本管理会計学会
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