抄録
伝統的陶磁器における流通,製品開発,ブランド戦略といった,マーケティングに関して筆者がこれまでに行ってきたヒアリング調査の結果をもとに現状と課題の分析を行った。その結果,有田焼や赤津焼に対する知覚には売り手と買い手の間で隔たりがあり,その要因は,問屋の崩壊に伴うマーケティングの欠如に端を発するとわかった。診断結果では,陶磁器に現在の消費者が求めていることは「使う」ことであって伝統や文化の保護ではないため,問屋が果たすべき役割は使うという視点に立った商品企画,品揃え,情報伝達であり,単なる物流ではないプロデューサーの役割を果たすことが今後の鍵になると指摘した。