日本経営診断学会論集
Online ISSN : 1882-4544
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サプライチェーンの可動率に関する一考察
小島 貢利田村 隆善
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2016 年 16 巻 p. 108-114

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抄録

本研究では,生産拠点が分散するグローバルなサプライチェーンシステムが遭遇する各種の災害に関して言及し,システムの可動率に関して,簡単なモデルを用いて解析を行う。災害のような突発的かつ長期間にわたる停止に備えて,工程間に余分な在庫を常々保持することは,在庫保管コストだけでなく,部品・製品の在庫切れ抑制の観点においても,大きな効果をもたらさないことを示す。また,サプライチェーン全体の可動率の評価において,各工程の停止の同時性に関して着目する。工程が多段階になり,停止の同時性が低くなるほど,サプライチェーン全体の可動率が低下することを示す。結果として,国内の生産拠点間の距離を単に間延びさせただけのグローバル化では,各地の災害等に対する頑健性を備えたサプライチェーンの構築は困難であることを説明する。

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© 2016 日本経営診断学会
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