トヨタ生産方式を採用する企業では,あらゆる改善活動が品質改善とリードタイム短縮に集約され,その成果は収益に結びつくと言われており,改善活動の効率が高い。しかし,仕組みが確立されていない事例においては,改善活動の成果が収益に対して効果的に作用しない場合があり,多くの中小企業が抱える課題となっている。本研究では,改善活動と収益がどのようなプロセスで結びついているのかを明らかにするために,マトリクスモデルと呼ばれる診断ツールを提案し,中小企業A社を対象とした調査から有効性を検証する。マトリクスモデルを用いて改善活動を診断することは,中小企業が抱えている課題を可視化し,収益に結びつく改善活動を検討するのに有効な手段であると考えられる。