本稿は私学共済事業団のデータを用いてわが国の私立大学法人の36年間の長期分析と地域別,規模別,学部別の分析を行う。この間,総体として利益率は低下したが,減価償却特定引当資産を含む特定資産という名のもとに膨大な金融資産を蓄積し,有利子負債や学校債が減少している。総体としての好調とは裏腹に,大学間で規模別,地域別,学部別で格差が進行していることを指標で明らかにした。大規模法人,関東以西法人の好調さ,小規模法人,甲信越,東北,北海道の法人,家政,教育学部の厳しさも,利益率をはじめとする具体的な比率で明らかにした。学校経営は在校生や専門教授がいるので転換は非常に緩慢にしか行えない。定員確保の難しい学部では,他学部や人気のあるコースに定員に振り替える,付属校を充実させる,など経営改善のための参考資料とされることを願っている。