抄録
開散麻痺による複視・ふらつきで発症し,認知機能障害を徐々に呈した32歳女性を報告した. 認知症・精神症状・運動失調・体重減少が徐々に出現.頭部 MRI では明らかな異常所見を当初は認めず.拡散強 調画像(DWI)・FLAIR で血管支配に一致しない皮質の軽度の高信号域が 2 年後に出現した.SPECT では 前頭葉・側頭葉の集積低下あり.脳波ではθ波優位の徐波で PSD は認められず,プリオン蛋白遺伝子検 査では codon129 は MM で遺伝子変異なく,髄液総 tau・14-3-3 蛋白はカットオフ以下であったが,臨床 経過・画像所見からプリオン病が疑われた.本症例は若年発症であり初期に開散麻痺による複視を,認知 症の出現が遅いこともあわせ,貴重な症例と考えられた.また,このような緩徐進行性の複視・ふらつき・ 認知機能障害例ではDWIを含むMRIでの長期フォローが必要と考えた.