運動障害
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最新号
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特別講演
  • 髙尾 昌樹
    2010 年 20 巻 2 号 p. 53-64
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    Movement disordersとは運動低下あるいは運動過多を呈する神経学的症状,徴候,疾患を含む一 連の概念ととらえることができる.そこで扱われる神経疾患のなかで,特に神経変性疾患の神経病理を 最近のトピックスも含め広く概説した.Movement disordersは,(1)akinetic-rigid movement disorders, (2)Hyperkinetic movement disorders,(3)ataxic movement disorders,(4)motor neuron disorders の 4 種類に分類される.本稿では,(1)~(2)のなかで,代表的な疾患をとりあげた.
  • 佐橋 功
    2010 年 20 巻 2 号 p. 65-76
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    神経筋接合部疾患(NMJ-D)はチャンネル異常症であり,代表的な一次性疾患は,(A)自己抗体によ る疾患群(自己免疫性後天性):重症筋無力症(MG)は AChR-MG と MuSK-MG および抗 AChR・MuSK 両抗体が陰性のdouble SNMG,LEMS,Isaacs症候群と,(B)先天性疾患群:CMS,Schwartz-Jampel 症候群がある.とくに頻度が高い AChR-MG では,より多様な抗体が多彩な臨床像を形成,MuSK-MG は 依然として発症機構は未解明,double SNMGでは集族化(clustering)AChR抗体等の問題,LEMSでは Sox1 抗体,CMS では各種病因の多様性などが現在の問題や議論点として挙げられ,これらにつき解説した.
症例報告
  • 柏原 健一, 今村 貴樹, 大野 学, 河田 幸波
    2010 年 20 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    強い腹痛を訴え,非麻薬性鎮痛薬であるペンタゾシンの反復投与を必要とした発症 4 年目,79 歳 のパーキンソン病(PD)患者を経験した.腹痛発現時の運動障害重症度は Hoehn & Yahr ステージ 3.5 であり,ウエアリングオフはみられなかった.腹痛は下腹部中心に生じ,夕方増強した.腸蠕動亢進などの身 体的異常はみられず,下腹部筋こわばり痛の訴えも伴っており,PD による非運動オフ症状と考えられた. L-dopa 製剤の分割頻回投与で症状は軽快した.腹痛の原因として抗 PD 薬効果の減弱による疼痛閾値低下が予想された.
  • 城戸 崇裕, 石井 亜紀子, 塩谷 彩子, 望月 昭英, 石井 一弘, 玉岡 晃
    2010 年 20 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    舌に限局したジストニアの 46 歳女性を報告した.発語時の舌の不随意な前方突出により構音障害 をきたしていたが発語時以外の舌運動は正常で,随伴する神経学的異常や検査値異常を認めなかった.塩 酸トリヘキシフェニジルの投与を開始したが,副作用のため中止した.箸をくわえるなど,口腔内に刺激 があると症状が軽減するという感覚トリックが見られた.これを利用した治療としてマウスピースを作成 したところ,有効であった.ジストニアの薬物療法は有効率が低い.舌のジストニアは比較的稀であるが, 舌麻痺のリスクからボツリヌス毒素使用には注意が必要である.副作用のない感覚トリックを利用した治 療は積極的に選択肢に加えられるべきであると考えられた.
  • 倉重 毅志, 中村 毅, 石原 愛子 , 宮地 隆史, 郡山 達男, 山脇 健盛, 松本 昌泰
    2010 年 20 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/04/18
    ジャーナル フリー
    開散麻痺による複視・ふらつきで発症し,認知機能障害を徐々に呈した32歳女性を報告した. 認知症・精神症状・運動失調・体重減少が徐々に出現.頭部 MRI では明らかな異常所見を当初は認めず.拡散強 調画像(DWI)・FLAIR で血管支配に一致しない皮質の軽度の高信号域が 2 年後に出現した.SPECT では 前頭葉・側頭葉の集積低下あり.脳波ではθ波優位の徐波で PSD は認められず,プリオン蛋白遺伝子検 査では codon129 は MM で遺伝子変異なく,髄液総 tau・14-3-3 蛋白はカットオフ以下であったが,臨床 経過・画像所見からプリオン病が疑われた.本症例は若年発症であり初期に開散麻痺による複視を,認知 症の出現が遅いこともあわせ,貴重な症例と考えられた.また,このような緩徐進行性の複視・ふらつき・ 認知機能障害例ではDWIを含むMRIでの長期フォローが必要と考えた.
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