運動障害
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症例報告
Primary Lingual Dystonia Induced by Speaking の一例
城戸 崇裕石井 亜紀子塩谷 彩子望月 昭英石井 一弘玉岡 晃
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2010 年 20 巻 2 号 p. 41-45

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抄録

舌に限局したジストニアの 46 歳女性を報告した.発語時の舌の不随意な前方突出により構音障害 をきたしていたが発語時以外の舌運動は正常で,随伴する神経学的異常や検査値異常を認めなかった.塩 酸トリヘキシフェニジルの投与を開始したが,副作用のため中止した.箸をくわえるなど,口腔内に刺激 があると症状が軽減するという感覚トリックが見られた.これを利用した治療としてマウスピースを作成 したところ,有効であった.ジストニアの薬物療法は有効率が低い.舌のジストニアは比較的稀であるが, 舌麻痺のリスクからボツリヌス毒素使用には注意が必要である.副作用のない感覚トリックを利用した治 療は積極的に選択肢に加えられるべきであると考えられた.

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© 2010 日本運動障害研究会
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