演者として能動的な立場でパフオーマンスを行う際に,「時間的な区切り」としての“かたまり”や「時間的な間」としての“かたまり”を意識下‘無意識下においてどのように知覚し動作をコントロールするのか,ということについて分析を試みた。その結果,どのような“かたまり”の取り方がより自然なものとして感じられ,それには一定の傾向や規則性はあるのか,さらにそれは演者の熟達度と関係はあるのか,ということについて明らかにした。分析の対象には,美的価値を追求した「解釈」によって“かたまり’’の取り方が意図的に加工・洗練されてしまう芸術の分野からあえて離れ,もっとプリミティブなレベルの動作である武術の分野におけるパフオーマンスを取り上げることによって,ョーロッパ音楽と日本音楽などのように様式として分化してしまう以前の段階における,より一般的な身体的反応と普遍的な知覚レベルの特徴や傾向を確認することができた。