音楽表現学
Online ISSN : 2435-1067
Print ISSN : 1348-9038
ジョン・ゾーン《コブラ》はどのような〈ゲーム〉なのか
奏者間のやり取りに着目した検討
寺内 大輔
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2017 年 15 巻 p. 55-72

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抄録

本稿は、アメリカの音楽家、ジョン・ゾーン(John Zorn 1953— )の代表作《コブラ(Cobra)》(1984)を対象とし、その演奏行為に内在する〈ゲーム〉としての特質を考察する論文である。まず、〈ゲーム〉としての特質が内在する音楽のなかで、《コブラ》以前にゾーン以外の作曲家によって作られた諸作品が持っていた特質を振り返る。次に、《コブラ》における奏者間のやり取りに着目した検討を行い、演奏の進行を司る〈プロンプター〉が〈ゲーム〉を活性化させるためにトリックスターとしての性格を有していることを指摘し、また演奏者相互のやり取りが流動的な関係性のなかで 展開していることを論じる。それをふまえ、《コブラ》の演奏行為に含まれる〈ゲーム〉としての特質を 4 つの視点で考察 する。最後に、〈ゲーム〉としての《コブラ》が多様な側面を持っていること自体が、前述の《コブラ》以前に作られた諸作品には見られなかった特質―面白さを生み出したと結論づける。

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© 2017 日本音楽表現学会
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