音楽表現学
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ショパン「24 の前奏曲」op.28 にみる各曲の関連性と対照性について
木下 千代
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2007 年 5 巻 p. 33-44

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抄録

ショパンの「24 の前奏曲」op.28 は、ショパンの作品にはめずらしい小品の集まった曲である。ショパンが生前に 24 曲つづけて演奏したという記録はないが、今日ではそうされるのが常となっている。長短調が交互に、しかもはげしい対比をもって入れ替わるこの曲は、演奏者になみなみならぬ構成力と集中力を強いるものである。筆者も演奏に際してどのようにまとめたらよいかを考えるうちに、平行調の 2 曲ずつに書法上の関連があり 2 曲が対をなしているのではないかということに気づいた。また平行長短調だけでなく 5 度上の調に移行する時も、音型などになんらかの関連性をもたせていることが多い。本小論では、ショパンの書法および記譜上の小さなサインから、関係長短調および全体がどのように関連付けられているかを読み取り解明する。またそのことから導かれる演奏上の留意点を述べつつ、24 曲をどのように構成するかを考察する。

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© 2007 日本音楽表現学会
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