音楽表現学
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早坂文雄の《交響的組曲「ユーカラ」》における音楽語法
メシアンの音楽語法との関連性をめぐって
竹内 直
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2011 年 9 巻 p. 45-56

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抄録

 日本の「民族主義」を代表する作曲家の一人とされる早坂文雄(1914-1955)の《交響的組曲「ユーカラ」》(1955) は無調性への傾斜や複雑なリズム語法の使用などの特徴から、早坂の新しい境地を示した作品であるとされながら、これまでその音楽語法は明らかになってはいなかった。本稿は早坂の《ユーカラ》における音楽語法を、メシアンの音楽語法との関連から考察することを試みたものである。

 早坂が《ユーカラ》において用いた音楽語法には、メシアンの音楽語法である「移調の限られた旋法」、「添加価値」をもつリズム、「逆行不能リズム」、「鳥の歌」と類似する手法が頻繁に用いられている。またそうした手法のなかには武満徹(1930-1996)の音楽語法との共通点もみられた。

 早坂がメシアンに関心をもっていたという言説を踏まえれば、早坂の《ユーカラ》における音楽語法は、メシアンの語法との近親性を具体的に例示することになるだろう。またその語法は、武満徹をはじめとする早坂の影響を受けたとされる作曲家の語法との関係をより具体的に示しているといえる。

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