抄録
本研究では,学習者のキーボード入力速度とキーボードを使用したテストとの関連について検討し,キーボードの使用が学習者にとって不利となる場合の対策について提案を行った.短大生を対象として,キーボード入力速度を測定し,次にキーボードを使用したテスト(コンピュータテスト)とペーパーテストを実施し,成績データおよび各テストに対する印象についてのデータを収集した.これらのデータに,さらに学習者特性として英語学習に対する興味(好悪)と日本語文字入力方式,Locusof Control(統制の所在;LOC)を加え,相互の関連を分析した.その結果,(1)キーボード入力速度の遅い者は早い者に比べて,コンピュータテストの成績が悪い(2)入力速度の遅い者でも,自分の英語への興味に合致して日本語文字入力(ローマ字/カナ)を行っている場合には,コンピュータテストに対する印象は良い(3)(2)の視点,つまり学習者の英語学習への興味と日本語文字入力方式を合致させるという方法は,内的LOCを持つ学習者に有効である,ことが明らかになった.