1983 年 7 巻 3 号 p. 121-128
集団応答曲線を数量的に解析するためには,ワイブル分布関数を適用すると便利であることが知られている. ここでは,応答曲線の計測途中の段階で,その時点までに得られたデータを用いて応答が完了した時点の応答曲線を推定するために従来のモデルの使用法に少し修正を加えた.パラメータの推定は非線形用最小二乗法を利用し,用いるデータ数や初期値によってパラメータの推定値がどのように影響を受けるかということを明らかにした.その結果,パラメータの推定値は観測データ数や初期値に影響を受けやすい,推定値の差がワイブル分布関数の差となって表われるとは限らない, ということがわかった. また「学習効用関数」を導入し,応答曲線の推定パラメータを利用して,実際の進行制御を実時間で行なっていく場合の具体的な指標を作った.パラメータ推定値の変動にもかかわらず,それを用いて算出した数理的指標は比較的安定した値を示した.