順天堂醫事雑誌
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第31回都民公開講座《高齢者と膝関節痛》
グルコサミンと変形性膝関節症
長岡 功
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2013 年 59 巻 2 号 p. 152-162

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抄録

変形性関節症 (osteoarthritis;OA) は, 軟骨破壊によって局所の痛みと慢性的に増強する運動機能障害をきたす疾患であり, とりわけ変形性膝関節症 (膝OA) が多い. 近年, 従来の運動療法や薬物による保存的治療に加えて, 軟骨代謝を改善してOAの進行を抑制する構造修飾効果 (structure-modifying effect) または軟骨保護効果 (cartilage protecting effect) をもつ新たな治療法が期待され, その有力な候補としてグルコサミンやコンドロイチン硫酸などいくつかの食品成分が注目されている. 一方, OAの病態を客観的に評価するために様々な関節マーカーが研究されてきたが, 特にII型コラーゲンは関節軟骨に特異的に存在するため, II型コラーゲンの分解・合成をみることは, 関節疾患の病態や, それに対する薬物, 食品の効果をより正確に客観的に評価できると考えられている. そこで, 本稿では, OAの病態変化と関節マーカーによる膝OAの評価について概説し, さらに, 関節マーカーを用いてグルコサミン含有食品の膝OAに対する効果を評価した例について紹介する. そして, グルコサミンが抗炎症作用を示すとともに, 軟骨成分 (グリコサミノグリカン, II型コラーゲン) の分解を抑制する一方で, 合成を促進することによって軟骨保護的に作用する可能性について述べる.

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© 2013 順天堂医学会
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