順天堂醫事雑誌
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第32回都民公開講座《アンチエイジング》
形成外科学的なアンチエイジング
水野 博司
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2013 年 59 巻 4 号 p. 321-326

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抄録
わが国における未曾有の高齢化社会の到来により, 従来の疾患治療型の医療から, いつまでも心身ともに若く保つための抗加齢医学, いわゆるアンチエイジングが先制医療的側面をもって広く認知されるようになってきた. 形成外科とは単に手術的に治すだけでなく, いかに整容的な配慮に心がけ, 外見的にもより正常な状態を再構築するかが他の外科系診療科と比較した場合の大きな存在意義である. したがって形成外科学的なアンチエイジングというのは, 内面的アンチエイジングというよりも外見的アンチエイジング, すなわち“見た目”を若く保つこと, ないしはより若く改善すること, そしてその結果として心身の健康を保つことと言い換えることができる. その手法としては大きく分けて, (1) 手術的アプローチと (2) 非手術的アプローチがあり, 前者の代表は眼瞼周辺の手術 (眼瞼下垂症治療や眼瞼内反症治療など) や除皺術 (フェイスリフト手術) であり, 後者の代表はシミやくすみに対する光線治療, レーザー治療, ケミカルピーリング, 外用薬や, しわに対するフィラー (ヒアルロン酸, コラーゲン) 注入, ボツリヌス菌毒素治療, そしてたるみに対するラジオ波や超音波治療などが存在する. しかし美の追求を求めることが第一義である美容外科とこの形成外科学的アンチエイジングとは, 方法論は同じでも根本的な考え方としては似て非なるものと理解する必要があるうえ, そういった考え方のためか多くの間違った情報に翻弄される結果, 様々な治療トラブルが起きる可能性がある. したがって患者および形成外科学的アンチエイジングに携わる医療従事者は, エビデンスに基づいた正しい治療法や予防法を正しく理解する必要があり, 適切な方法を必要に応じて取捨選択できるようになることが大切である.
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© 2013 順天堂医学会
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