抄録
Wistar系成熟雄ラットの精巣上体精子を修正KRB中に種々の濃度 (0.05~1.0×106精子/ml) に希釈して前培養した後,同系成熟雌ラットから採取した自然排卵卵子を導入して授精した.授精10時間後に卵子を固定・染色して調べた結果, 精子濃度は侵入率(77~100%)および多精子受精率(25~61%)に影響をおよぼさなかった.0.5~1.0×106精子/mlの精子濃度を用いて得られた侵入卵を授精10時間後に修正R1ECMに移して培養を継続した結果, 58%の卵子が胚盤胞にまで発生した.以上の結果から,成熟雌ラットから採取された自然排卵卵子と精巣上体精子の体外受精が可能であり, このようにして得られた受精卵は限定培地で培養することにより胚盤胞にまで発生し得ることが明らかになった.