Journal of Mammalian Ova Research
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体外作出牛胚の着床前期中の発生速度の差と性
板垣 佳明木村 直子山中 昌哉須藤 鎮世
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1995 年 12 巻 2 号 p. 73-78

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抄録
体外成熟-体外受精によって作出した牛胚を第1卵割時期に従って分類し,これらの2-細胞期胚のその後の脱出胚盤胞までの発生と性について体外培養とPCRによる性判別によって検討した.体外受精に供した669個の胚のうち,媒精後22,26,30および44時間で選んだ卵割胚はそれぞれ124,227,88および65個であった.これらの胚を卵丘細胞層の拡がった同じ培地に別々に移して10日間共培養した.媒精後22,26,30 および44時間で選んだ胚の脱出胚盤胞への発生率はそれぞれ56.5,40.1,21.6および4.6%となり,これらの間には統計学的な有意な差がみられた(P<0.05).さらに,早く卵割した胚(媒精後22および26時間)では遅く卵割した胚(媒精後30および44時間)に較べて脱出胚盤胞の最初の出現あるいはピークが早かった.性判別のためにPCRに供した183個の脱出胚盤胞のうち,171個で性を判定することができ,全体での性比は51.5%(88/171)であった.早く卵割した胚および遅く卵割した胚から発生した脱出胚盤胞の性比はそれぞれ49.7%(74/149)および63.6%(14/22)となり,第1卵割時期に関係していなかった.以上の結果から,媒精から第1卵割の終了までの時間は性差についてではなく,胚のその後の発生に大きく影響することが示唆された.
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© 1995 日本卵子学会
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