抄録
全胚盤胞培養法によって,2株のC57BL/6系マウスに由来する胚幹(ES)細胞株(OKB6-Iおよび-II)が樹立され,分離効率は3.9%(2/51)であった.これらは多能性を保有しており,核型は正常で,アルカリ性フォスファターゼ活性陽性であった.また,染色体の大きさおよび形態から,OKB6-Iは雌株,OKB6-IIは雄株であることが示された.ICR胚との共培養によってキメラ作出を試みた結果,OKB6-Iからはキメラは得られなかったが,OKB6-IIからは,毛色キメラ雌1匹と生殖系の異常なアルビノ個体1匹が得られた.交配試験では,OKB6-II⇔ICRキメラは3匹の生存産子を分娩したが,いずれもアルビノ型であった.また,生殖系の異常な個体は生殖不能であり,卵巣および精巣様構造を対側性に有する半陰陽体であることが示された.