抄録
マウス4細胞期割球の電気融合により同一胚由来の2倍体/4倍体モザイク胚を作出し,その生存性について検討した.処理胚の51.3%が2倍体/4倍体モザイク胚になり,そのうちの77.8%が胚盤胞に発生した.この発生率と融合に失敗した2倍体胚の発生率(73.9%)との間には有意差はなかった.コンパクションは6細胞期に観察され,それは対照胚と同じ時期に起こった.また,胚盤胞の細胞数は対照胚のほぼ4分の3であった.これらの胚盤胞を仮親に移植したところ,妊娠11.5日の検査では90.0%が着床し,25.9%が胎子に発生し,64.1%は胎子に発生しなかった.染色体解析では胎膜からは一部4倍体細胞を検出したものの,胎子部分からは全く検出されなかった.また,2匹の仮親から合計7匹の正常な子が生まれたが,大腿骨骨髄細胞の染色体解析では,4倍体細胞は検出されなかった.以上の結果から,4倍体細胞は着床前の拡張胚盤胞までは高率に発生するが,着床後の発生の胎子部分への寄与率は低いと推察された.