Journal of Mammalian Ova Research
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マウス胚性幹(ES)細胞(A3-1)のサブクローニング法の検討
鎌田 宣夫寺社下 浩一上田 乙也内田 さとみ鈴木 宏志
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1997 年 14 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

マウスES細胞の簡便かつ効果的なサブクローニング法を開発する目的で,以下の三つの方法について検討した.I. 単離法:トリプシン-EDTA処理によって単一細胞としたES細胞をマイクロマニュプレーターを用いて,細胞の形態別に,球形および非球形を呈していたものに選別して培養した.II. 沈降法:ES細胞を単一細胞とした後,15~45分間インキュベター内で静置した.次いで,シャーレに接着した細胞と浮遊細胞とに分けて培養した.III. コロニーピックアップ法:形態的に正常と思われるコロニーを選定し,これを単一細胞化した後に培養した.それぞれのサブクローニング法の評価は,サブクローニング前後の正常染色体数を有する細胞の割合および体外における分化能の検定によって行った.サブクローニング前の正常核型を持つ細胞の割合は30%~48%であったが,単離法および沈降法ではこの割合を改善しなかった.コロニーピックアップ法においては,68%~78%の細胞が正常核型を示し,さらにsimple embryoid bodyおよびcystic embryoid bodyの形成日は,それぞれ3~4日および7~8日であった.以上の成績から,これら三つのサブクローニング法のなかでは,コロニーピックアップ法が最も有効であると考えられた.

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© 1997 日本卵子学会
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