Journal of Mammalian Ova Research
Online ISSN : 1347-5878
Print ISSN : 1341-7738
ISSN-L : 1341-7738
Original
遺伝子欠損マウス精子の凍結保存
岡本 正則中潟 直己上田 乙也鎌田 宣夫鈴木 宏志
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 15 巻 1 号 p. 77-80

詳細
抄録
遺伝子欠損マウスを用いて精子の凍結保存を試みた.Et1tm1CskおよびGKtm1Cskの両側の精巣上体尾部を100μlの凍結保存液(18%ラフィノースおよび3%スキムミルク)内で砕屑することによって精子懸濁液を作製した.ウシ人工授精用ストローに充填した精子懸濁液は,液体窒素ガス中で10分間冷却した後,液体窒素に浸漬した.融解は摂氏30度の水中で行い,1μlの融解精子懸濁液を200μlの培養液で希釈した後,1.5時間のプレインキュベートを行った.次いで,卵子を精子懸濁液に加えることによって体外受精を行った.Et1tm1CskおよびGKtm1Cskの受精率は71%および77%であり,移植後の産仔への発生率は,それぞれ32%および65%であった.得られた産仔には,メンデルの法則にしたがって変異遺伝子が伝達されていた.これらの成績は,遺伝子欠損マウスの維持管理において,本精子凍結保存法が,胚の保存法に代替し得ることを示している.
著者関連情報

この記事は最新の被引用情報を取得できません。

© 1998 日本卵子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top