Journal of Mammalian Ova Research
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各種プロモーター配列を連結したLacZ遺伝子注入によるマウス初期胚での発現
宗田 吉広木村 直子工藤 季之山中 昌哉板垣 佳明
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1998 年 15 巻 1 号 p. 81-86

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抄録
ヒトT-細胞白血病ウィルスのLTR領域のRU5配列により増強させたマウスphosphoglycerate kinaseプロモーター(PGK-RU5)およびマウス胚性幹細胞ウィルスプロモーター(MESV-RU5)の活性をSV40およびCMVプロモーターと比較した.これらのプロモーター配列に接続したLacZ遺伝子をマウス前核期卵に注入し,これらの胚での発現をX-gal染色により検出した.hCG投与後96時間における桑実期胚への発生率はプロモーター間で差はなかったが,形態的に正常と思われる桑実期胚のLacZ遺伝子の発現はMESV-RU5を用いた場合,他のプロモーターより有意に低くなった.経時的なX-gal染色ではPGK-RU5およびCMVを連結したLacZ遺伝子の発現は2-細胞期でも50%以上の胚で検出可能であり,その後もほぼ同じ割合で推移した.一方,2-細胞期でのSV40およびMESV-RU5のプロモーター活性はPGK-RU5およびCMVよりも有意に低かった.MESV-RU5のプロモーター活性はその後も低い割合にとどまり,染色強度も弱かったが,SV40のプロモーター活性はその後上昇し,桑実期胚ではPGK-RU5およびCMVとほぼ等しい活性を示した.LacZ遺伝子が発現している胚の染色パターンおよび強度は,用いたプロモーターにかかわらず様々であったが,形態的に正常と思われる胚では退行卵や発生停止胚よりもモザイクパターンが多く,染色強度も弱い傾向にあった.
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© 1998 日本卵子学会
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