Journal of Mammalian Ova Research
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胚盤胞形成過程における単為発生マウス胚の細胞接合に関する形態学的研究
新村 末雄二俣 ナナ
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1998 年 15 巻 3 号 p. 173-178

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抄録
胚盤胞形成過程の単為発生マウス胚について,割球および細胞の接合状態を形態学的に調べ,受精胚のものと比較した.単為発生胚において,接合装置は,割球が変形を起こしていない8および16細胞期では,いずれの部位にもみられなかったが,割球が変形を起こした8および16細胞期では,扁平割球間に閉鎖帯,デスモソーム前駆体およびギャップ結合が,また,球形割球間および球形割球と扁平割球の間にギャップ結合が,それぞれ出現した.桑実胚期では,さらに,扁平割球間にデスモソームが,球形割球間および球形割球と扁平割球の間にデスモソーム前駆体がみられた.胚盤胞期では,栄養膜細胞間に閉鎖帯,接着帯,デスモソーム,デスモソーム前駆体およびギャップ結合が,栄養膜細胞と内細胞塊細胞の間および内細胞塊細胞間にデスモソーム前駆体とギャップ結合が,それぞれ観察された.単為発生胚で観察された接合装置の種類と部位ならびにそれらの出現時期は,受精胚のものと相違なかった.一方,すべての時期の単為発生胚において,アクチンとサイトケラチンは,割球あるいは細胞の細胞質に分布しており,それらの分布状態は受精胚と相違なかったが,桑実胚期と胚盤胞期の単為発生胚では,これらを欠く割球あるいは細胞が少数みられた.以上の結果から,胚盤胞形成過程の単為発生胚における割球および細胞接合の状態は,受精胚と相違ないことが確かめられた.
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© 1998 日本卵子学会
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