抄録
ブタ健常卵胞顆粒層細胞を抗原として,IgMおよびIgGモノクローナル抗体(PFG-5抗体およびPFG-6抗体)を作製した.PFG-5抗体は2種の細胞膜タンパク(PFG-5抗原:55kD,pl5.9およびPFG-6抗原:42kD,pl5.2)を認識し,PFG-6抗体はPFG-6抗原のみを認識した.両抗原とも健常卵胞の顆粒層細胞には存在したが,PFG-6抗原は退行卵胞の顆粒層細胞には存在しなかった.健常卵胞顆粒層細胞を単離し,PFG-5抗体を含む培地で培養するとアポトーシスが誘導されたが,これにPFG-6抗体を加えて培養するとアポトーシス誘導は阻害された.PFG-5抗原は既知のFasや腫瘍壊死因子受容体とは異なる新規なアポトーシス受容体で,PFG-6抗原はPFG-5抗原依存性アポトーシスを阻害する囮受容体であると考えられた.