抄録
1970年代に生まれた日本人男性の精液を評価した.サンプルを各世代(1970-72,1973-75と1976-78)で比較した時,射出量と異常率に差は見られなかった.しかし精子濃度において,1970-72年に生まれたものの精液(114.8±52.5×106 sperms/mL n=3)は他の世代に生まれたもの(48.8±44.1×106および58.0±27.0×106 sperms/mL,それぞれ1973-75年 n=17および1976-78年生まれ n=28)に比べ高濃度であった.精子濃度および射出精子数と,被験者の生年月日の間に相関は見られなかったが,彼らの両親の生年月日は精液の品質に影響を与えた.環境中の化学物質は両親が生まれた頃より増加し始めていることから,両親の生殖能力が関与している可能性が示唆される.