Journal of Mammalian Ova Research
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原著
ICSIの適応
濱田 由香里藤原 睦子竹林 浩一高橋 健太郎野田 洋一
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2004 年 21 巻 4 号 p. 204-208

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抄録

ICSIの適応は精液所見からと既往治療歴から予測される受精障害とに大別される.まず,精液所見から客観的にICSIの適応を検討するために,精子の前進運動を評価できるとされているSperm Quality Analyzer(SQA)で得られるSperm Motility Index(SMI)の有用性を評価した.また,Split cycleの成績を解析して,受精障害の予測を検討した.Poor群(0≦SMI<80),Medium群(80≦SMI<160),Good群(160≦SMI)とし,SMIと受精率,妊娠率との関係を検討したところ,Poor群(n=10),Medium群(n=9),Good群(n=43)で受精率56.4%,69.6%,71.1%,妊娠率20.0%,33.3%,48.8%であり,各群間において有意差は認められず,SMIのみによってICSIの適応を決定することは困難であった.Split cycleについては,conventional IVF 周期(n=188),Split周期(n=14),ICSI周期(n=72)の受精率は,64.8%,63.0%,56.0%であり,妊娠率は46.6%,57.1%,31.7%であり,各群間に有意差は認められなかったが,Split cycleの適応別に比較すると,前回受精障害の受精率はconventional IVFとICSI で差を認めず,ICSIの適応とするには慎重であるべきと考えられた.

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© 2004 日本卵子学会
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