Journal of Mammalian Ova Research
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原著
遠心で分離したマウス卵母細胞断片の特性
亀山 祐一下井 岳海老原 克仲後藤 千恵五十嵐 愛伊藤 雅夫
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2007 年 24 巻 4 号 p. 167-174

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抄録

哺乳動物の卵母細胞を透明帯除去,細胞骨格阻害剤処理後に遠心すると,無核と有核の細胞断片に分離する.この卵母細胞断片を核移植や細胞質移植に使えれば,ドナー核体,レシピエント細胞質体,ドナー細胞質体の調整が容易になる.本研究ではマウス卵母細胞から遠心で細胞断片を調製する方法と得られた卵母細胞断片の細胞学的な特性について検討した.透明帯除去卵母細胞をサイトカラシンD(CD)処理後,個々にパーコール非連続密度勾配を持つキャピラリに詰めて遠心分離した.回収した卵母細胞断片について染色質,ミトコンドリア,脂肪顆粒の分布を観察した.卵母細胞を4~8℃でCD処理した後に1分間遠心すると,57%が1対の小細胞断片(平均直径27.6 μm)と大細胞断片(平均直径73.5 μm)に分離した.大細胞断片は90%以上が無核で,ミトコンドリアの分布に伴う強く均質な蛍光を示した.卵母細胞の脂肪顆粒は遠心の求心側に移動し,その一部が小細胞断片に取り込まれて分離したと思われる.これらの大細胞断片は核移植のレシピエント細胞質体として利用可能と思われた.

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© 2007 日本卵子学会
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