我々は,排卵直前のマウスにカドミウム(Cd)を投与して得られた2細胞期胚で既に発生能が低下することを報告してきた。本研究は,Cdの卵子毒性が2細胞期以前のどの過程で発現するのかを明らかにするため,IVMおよびIVF法を用いて成熟・受精期の卵子にCd曝露することで検証した。Cdを曝露する時期によりIVM区(成熟期のみ),IVF区(受精期のみ),IVM・IVF区(成熟・受精期)および対照区(曝露なし)の4群について,卵巣から回収した卵胞卵にIVM,IVFを施して受精率および胚盤胞への発生率を算定した。その結果,成熟期におけるCd曝露が卵母細胞の受精を阻害し,受精期のCd曝露が正常な胚発生を阻害していることが示され,Cdの曝露時期によって卵子毒性の発現起点が明確に異なっていた。また,成熟・受精期のCd曝露は2細胞期以降の曝露より低い濃度で受精や初期発生に影響を及ぼすことが示された。
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