Journal of Mammalian Ova Research
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24 巻, 4 号
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総説
  • 宮 香織, 渡邉 英明, 有地 あかね, 菅 かほり, 石川 聖華, 門前 志歩, 河村 真紀子, 許山 浩司, 依光 毅, 矢内原 敦, ...
    原稿種別: 総説
    2007 年 24 巻 4 号 p. 135-141
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/06
    ジャーナル フリー
    体外受精胚移植(IVF-ET:in vitro fertilization embryo transfer)に代表されるART(assisted reproductive technology)の歴史は1978年から始まり約30年の間に目覚しく進歩してきた.現在では体外受精で誕生した子が親になる世代である.ARTの遺伝的安全性の検証は極めて重要であり,ART実施者は出生児のフォローアップも行うことが義務とも言える.しかし,本邦においては,体外受精によって妊娠・誕生した児についてのその後の詳細な追跡調査は多くはない.この総説では体外受精(conventional IVF)と顕微授精(ICSI:intracytoplasmic sperm injection)によって妊娠・誕生した児についての先天異常について自験例を紹介するとともに,文献的に考察を行いたい.先天異常の発生頻度は,自然妊娠とARTによる妊娠の間で統計学的有意差はないとする論文もあるが,先天異常の増加を指摘する論文があるのも事実であるため,治療を開始する際にはそのような情報を正しく患者に説明することが大切であろう.また,最近では生殖医療分野に遺伝学的要素も加わり複雑化しているが,治療を行う側はこれらの知識も必要不可欠である.
  • 岡垣 竜吾, 石原 理, 出口 顯
    原稿種別: 総説
    2007 年 24 巻 4 号 p. 142-152
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/06
    ジャーナル フリー
    卵子提供以外に妊娠する可能性がないと思われ,卵子提供を希望する女性は日本国内にも多数存在する.現在のところ日本産科婦人科学会は卵子提供を禁止しており,日本において卵子提供を認めるべきであるという意見と,これに反対する意見がある.すでに卵子提供を認めている諸外国のシステムを参考にして,日本においても卵子提供を可能とするためのシステム構築がすすめられている.近親者からの提供の可否,出生した子の出自を知る権利など,いまだ意見の一致をみない問題が残されており,生殖医療関係者の早急な対応が望まれる.
  • 片寄 治男, 高山 智子, 菅沼 亮太, 林 章太郎, 柳田 薫, 佐藤 章
    原稿種別: 総説
    2007 年 24 巻 4 号 p. 153-160
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/06
    ジャーナル フリー
    卵細胞内精子注入法が生殖補助医療の中心的役割を果たしている現在,精子受精能の概念は大きく変わってきた.精子側に存在し,受精後の胚発生に影響を与える因子については近年数多くの検討がなされ,原因解明が確実に進行している.精子核についてはヒトの場合,蛋白構造上不均一な,すなわち精子核蛋白protamine内S-S結合の豊富な成熟あるいは過熟精子や,S-S結合の乏しい未熟精子がICSIの際に無作為に注入される可能性が高く,選択される精子核蛋白構造による受精・胚発生過程への影響が想定される.精子核クロマチン解析によれば,S-S結合の少ない症例ほど胚発生が良好であることが指摘される一方,精子DNA断片化の程度は胚発生異常と相関することが指摘されている.ICSIではS-S結合の少ない,DNA損傷のない精子核を注入すべきであるが,今後精子核の質に着目した精子機能検査法および良好精子核選別法の開発がさらに必要になるものと考えられる.
原著
  • 下井 岳, 亀山 祐一, 橋詰 良一, 伊藤 雅夫
    原稿種別: 原著
    2007 年 24 巻 4 号 p. 161-166
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/06
    ジャーナル フリー
    我々は,排卵直前のマウスにカドミウム(Cd)を投与して得られた2細胞期胚で既に発生能が低下することを報告してきた。本研究は,Cdの卵子毒性が2細胞期以前のどの過程で発現するのかを明らかにするため,IVMおよびIVF法を用いて成熟・受精期の卵子にCd曝露することで検証した。Cdを曝露する時期によりIVM区(成熟期のみ),IVF区(受精期のみ),IVM・IVF区(成熟・受精期)および対照区(曝露なし)の4群について,卵巣から回収した卵胞卵にIVM,IVFを施して受精率および胚盤胞への発生率を算定した。その結果,成熟期におけるCd曝露が卵母細胞の受精を阻害し,受精期のCd曝露が正常な胚発生を阻害していることが示され,Cdの曝露時期によって卵子毒性の発現起点が明確に異なっていた。また,成熟・受精期のCd曝露は2細胞期以降の曝露より低い濃度で受精や初期発生に影響を及ぼすことが示された。
  • 亀山 祐一, 下井 岳, 海老原 克仲, 後藤 千恵, 五十嵐 愛, 伊藤 雅夫
    原稿種別: 原著
    2007 年 24 巻 4 号 p. 167-174
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/06
    ジャーナル フリー
    哺乳動物の卵母細胞を透明帯除去,細胞骨格阻害剤処理後に遠心すると,無核と有核の細胞断片に分離する.この卵母細胞断片を核移植や細胞質移植に使えれば,ドナー核体,レシピエント細胞質体,ドナー細胞質体の調整が容易になる.本研究ではマウス卵母細胞から遠心で細胞断片を調製する方法と得られた卵母細胞断片の細胞学的な特性について検討した.透明帯除去卵母細胞をサイトカラシンD(CD)処理後,個々にパーコール非連続密度勾配を持つキャピラリに詰めて遠心分離した.回収した卵母細胞断片について染色質,ミトコンドリア,脂肪顆粒の分布を観察した.卵母細胞を4~8℃でCD処理した後に1分間遠心すると,57%が1対の小細胞断片(平均直径27.6 μm)と大細胞断片(平均直径73.5 μm)に分離した.大細胞断片は90%以上が無核で,ミトコンドリアの分布に伴う強く均質な蛍光を示した.卵母細胞の脂肪顆粒は遠心の求心側に移動し,その一部が小細胞断片に取り込まれて分離したと思われる.これらの大細胞断片は核移植のレシピエント細胞質体として利用可能と思われた.
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